子供と花粉症
花粉症は大人になってから罹るものというイメージ、ありませんか?
花粉症は対策8で述べたとおり、IgE抗体が体内で作られることによって起こります。
例えばスギ花粉に対するIgE抗体が、症状が出るに至る量にまで体内で産生されるには20年以上かかるのが通例。
しかし、一概にそうとも言えないのです。
体内に蓄積されたIgE抗体が花粉症の症状をもたらすまでには、通常20年から30年ほど掛かると言われています。
とはいえあくまでもそれは一般論。体質や体調、花粉の種類、環境などの要因により発症までのスピードが極端に早まることも多々あるのです。
現にスギ花粉症の場合、5~9歳の子供で13.7%、10~19歳では31.4%の子供が花粉症を発症しているというデータもあります(統計:鼻アレルギー診療ガイドライン)。
花粉症は大人だけのもの、という認識は捨てましょう。
子供が鼻をすすっていたとしても、スギ花粉症の場合は特にその飛散時季がインフルエンザや風邪の流行る時季とかぶってしまいますので、単にその症状だけを捉えて「風邪かな?」と早合点してしまいがち。
熱がないのに鼻の調子が悪そうだと感じたら、まずは花粉症を疑っておきましょう。
もちろん素人判断では危険ですので、専門医を受診することが大切です。
大人の場合、花粉症になるとくしゃみや鼻水・鼻詰まり・目のかゆみといった症状に悩まされますが、子供の場合はどうなのでしょうか。
子供の花粉症は大人に比べてくしゃみはあまり出ません。むしろ鼻詰まりを多く引き起こす場合が多いようです。
鼻が詰まると呼吸がしにくくなるため、どうしても口呼吸になってしまいます。子供が口で呼吸しているようなら、花粉症による鼻詰まりを疑ってみましょう。
また、鼻がムズムズするせいで、つい指で鼻をいじってしまって鼻血を出すこともよくあります。
同様に目をこすって充血したり、むくんでいる様子が見られる場合も花粉症を疑います。
花粉症かな?と思ったらまずは専門医にかかるのが先決。この場合、小児科でも耳鼻科でも構いません。
どちらにおいても同じような診察をし、同じような薬が処方されます。
ただ子供が幼い場合、薬はシロップをリクエストしておけば、服用しやすいかもしれません。
抗ヒスタミン薬が処方される場合は、授業中にうとうとしてしまわないよう眠気の少ない第2世代のモノを処方してもらいましょう。
さらに注意しておきたいのが、他のアレルギー疾患の併発です。花粉症のほかに気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの症状がないか、ある場合はその治療との兼ね合いも医師に相談する必要があります。
目のかゆみや充血などの場合、点眼薬が処方されます。
幼い子供は点眼されることに恐怖を覚えてしまうので、膝枕をして恐怖心を取り除きましょう。
そして子供の目の周辺をウェットティッシュなどで拭いてから、清潔な指で上瞼と下瞼を優しく拡げ押さえて、目がしら近辺に点眼します。あとはゆっくりまばたきさせます。
泣いているときに点眼しても意味はありません。涙で薬剤が零れ落ちてしまうからです。
もうひとつ気を付けておきたいのが花粉症対策用メガネの事故。花粉症対策用メガネは通常のメガネと異なり、花粉の流入を防ぐためにフレームが顔面方向に張り出しています。これが転倒や衝突時に顔面に強く押し付けられて、目の周囲を怪我してしまうことがあるのです。
体育の授業やスポーツ時は通常のメガネで過ごしたほうがいいかもしれませんが、それだと症状が悪化するということならば、花粉シーズン中の屋外での運動は避けるという選択も考えましょう。