花粉症を食べて改善
花粉症の症状を緩和するものはいくつかありますが、そのなかでもバラの花エキスとプロポリスについてその特性を知っておきましょう。
バラとプロポリス、ともに花粉症とは縁がなさそうだなんて思うなかれ。実はどちらもアレルギーに対して力を発揮してくれます。
健康食品のプロポリス(propolis)。一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。その正体は何かというと「樹脂」。とはいえ、もちろんプラスチック樹脂などではなく、そしてただの樹脂ではありません。
植物は身を傷つけられたり、新芽やつぼみのような弱い箇所では、その部分を保護するためにヤニのような物質を出します。花の蜜を集めて回るミツバチは、この物質も集め、巣に持ち帰ります。これを蜜蝋と混ぜて巣にべたべたと塗りたくると、巣内での細菌の繁殖を抑え、衛生を保つ働きをしてくれるのです。この塗りたくられた樹脂状のものをプロポリスといいます。
プロポリスと人とのつながりの歴史は古く、古代エジプトではミイラを作るときの防腐剤として利用されていました。
日本では90年代初頭に国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)が、プロポリスは腫瘍細胞が活発に増殖するのを抑えたり、腫瘍細胞を死滅させたりすると発表。
しかしこれが「プロポリスはガンを治す」というイメージの独り歩きを生むことになってしまいます。プロポリスは万病に効く薬などではありません。
またプロポリスはその成分に地域個体差が大きく、花粉症対策に用いるならばグリーンプロポリスと呼ばれる緑がかったものが有効成分に恵まれています。産地としてはブラジル産が推奨されています。
プロポリスの効能として最大の特徴は殺菌・抗菌作用です。抗酸化作用や、花粉症で発症する鼻の粘膜の炎症を抑える抗炎症作用もあります。またヒスタミンの遊離を抑える抗アレルギー作用も期待できます。さらに鼻詰まりを起こす成分であるロイコトリエンを抑止してくれます。
みつばち健康科学研究所によると、「プロポリスを含む錠剤を摂取する群と、プロポリスを含まない錠剤を摂取する群に分け、花粉が飛散する前の1月から12週間に渡り、それぞれの試験食を摂取」したところ、「プロポリス使用群は不使用群よりも花粉症治療薬を使用した人が少なかったことがわかりました。また、治療薬を使用した人においても、治療薬の使用頻度や強度を有意に軽減」とあります。
ハチの巣から採取したばかりのプロポリスは写真のような大きな塊です。さすがにこのままでは使えませんので、この塊から有用なエキスだけを抽出する必要があります。
その抽出方法は数種類あり、最も多く使われるのがアルコール抽出法。エタノールに漬けて撹拌し、エッセンスを抽出します。あらゆる成分が無添加でしっかり抽出できるゆえ、刺激が少し強めです。
水で抽出する方法もありますが、水に溶けださない有効成分は抽出できないため、効能がやや落ちるとされています。
ミセル化抽出法という聞き慣れない方法では、水と油両方に溶けるようグリセリンなどの乳化剤を用いて抽出します。
また、超臨界二酸化炭素抽出法というちょっとおどろおどろしい名前の抽出法もあります。二酸化炭素に圧力と温度を加え、気体でも液体でもない臨界点を越えた状態で抽出する方法です。何かの薬品を加えて抽出するわけではありません。
プロポリスは産地だけでなく、抽出方法の違いでも成分に差が出てくることを覚えておきましょう。
市販されているプロポリスは、一般的に液体の物が多いですが、顆粒状やカプセル、錠剤などもあります。キャンディーや他の成分と混ぜ合わせたタイプなどさまざま。
自身が摂取しやすいものを選ぶとよいでしょう。
液体の物は5~10滴を水で割って飲用するのが一般的な服用法ですが、味に癖があるので牛乳やジュースで割るのも手。ビタミンCとともに摂取すると、プロポリスに含まれるビタミンPが有効に作用しますので、オレンジジュースやハチミツなどと一緒に飲むのがオススメです。
また液体を綿棒に少量とり、鼻の粘膜に塗布するとプロポリスの麻酔成分が作用し、花粉症の症状が緩和するようです。