花粉症には「熱」と「寒」の2タイプが~花粉症向け漢方薬の選びかた2

医師

「熱タイプ」の症状向けの漢方薬を確認したところで、次は「寒タイプ」の症状に合致した効能を持つ漢方薬を見て行きましょう。

どちらのタイプにせよ、専門医の診断を経て服用するように。「生兵法は大怪我のもと」という諺のとおりです。


対策83:寒タイプの花粉症の漢方薬

寒タイプに該当する場合、もっともよく用いられる漢方薬が小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。
8種の生薬から成り立っていて、「麻黄」が発汗と体内の余分な水分を捌く役割と咳の沈静化を担い、「乾姜」と「半夏」が水分の循環を改善。「桂皮」にも発汗作用があります。
このとおり身体をぽかぽかさせる働きがあるので、身体が冷えるとくしゃみが出るなどの症状に効果的です。


小青竜湯
▲小青竜湯(画像引用:
クラシエホールディングス株式会社)

胃腸が弱い人や虚弱な人は服用できません。
同じく高血圧や心臓病、脳卒中既往など、循環器系の病気がある人も服用は避けましょう。 副作用として甘草を含む他の漢方薬と一緒に飲むと偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇)が起こることがあります。ほかに手足のしびれ、ふるえ、動悸、息切れにも注意です。
また、長期に渡って服用したほうが良いと診断されることが多い薬です。



葛根湯加川きゅう辛夷
▲葛根湯加川きゅう辛夷
(画像引用:クラシエホール
ディングス株式会社)

寒タイプの症状ながらも鼻水だけでなく鼻詰まりに悩まされていて、鼻水が粘っこい場合もあります。

この場合によく処方されるのが葛根湯加川きゅう辛夷 (かっこんとうかせいきゅうしんい、きゅう=クサカンムリに弓)。
寒気がする風寒型の感冒のときに良く処方される「葛根湯」に、「川きゅう」と「辛夷」を加えたものです。鼻粘膜の腫れを改善し、頭重感や肩こりを伴う症状に向いています。
副作用や服用を控えるべき特質に関しては、小青竜湯とほぼ同じになります。


オススメの寒タイプ向け漢方薬


対策84:漢方薬を服用する時の注意

食事をする女性

漢方薬は本来生薬を煎じて飲むものですが、昨今ではエキスを濃縮した顆粒のものが主流。西洋医薬でも同じことですが、水かぬるま湯で服用します。
コーヒーやお茶、ジュースや牛乳で飲んではいけません。一緒に飲むと吸収が悪くなったり効果が少なくなったりします。
また逆に、水なしで飲むのも胃に負担をかけるおそれがあります。

それでも漢方薬は西洋医薬に比べると胃への負担は少ない方です。それゆえに大体は食前、つまり胃が空っぽのときの服用を処方時に指定されます。食前服用は薬剤の吸収が良く、高い薬効を期待できます。


症状がだんだん改善してきたときの対処に関しても、自己判断で服用を中断・停止するのではなく、医師の判断を仰ぎましょう。花粉症は体質によるものであり、慢性化しやすい性質がありますので、投薬を中止することで症状がぶり返すおそれがあります。一気にやめてしまうのではなく、時間を掛けて少しずつ薬剤の量を減らしたり、服用間隔を開けて身体を慣らす方法をとるのがベターです。


また特に高齢者に関しては「麻黄」(まおう)を含むもの、例えば五虎湯や小青竜湯、葛根湯加川きゅう辛夷などは、狭心症や心筋梗塞などの心臓病既往者、高血圧、重い腎機能障害、胃下垂、胃腸虚弱といった症状に悪影響を与えることがあるため、充分注意しましょう。


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