花粉症の症状を今すぐ抑える
花粉症治療に使用される薬はこれまでに紹介した西洋医学のものだけではありません。東洋医学においても花粉症に効果を発揮してくれる漢方薬があります。
漢方薬は効果が出るまでに時間がかかるから長期服用しなきゃいけないんでしょ?というイメージとともに、副作用がないという好印象もあるようですが、実際のところはどうなのでしょう。
漢方薬とは中華における古来から伝わる医薬のことで、古くから日本にもたらされ、江戸時代の鎖国時に国内で大きく独自進化したものです。
天然成分を精製せずに使用する生薬(しょうやく)を複数調合していますが、現在の中国では見られない処方がなされることもあります。
西洋医学が症状を抑え込んで治す、対症療法中心であるのに対し、漢方薬を使用する東洋医学では、病気の原因の根本である体質や体調の安定や変質を図る原因療法が行われます。
しかし、漢方薬は症状を抑えることをしないのかと言うと、もちろんそうではありません。標治療法と言って病状を緩和し治す薬効ももちろんあります。
漢方薬を使用して治療するメリット、というものも当然あります。
まずは眠くなる成分が入っていないこと。インペアード・パフォーマンスの問題がないということです。
さらに気になる副作用も控えめです。
控えめというのは、「副作用がない」という意味ではありません。
西洋医薬に比べて控えめという意味であり、身体に何らかの影響を及ぼす効果があるのは同じ。それが良い作用になるか悪い作用になるかは個人差もありますので、服用してみなければわかりません。実際に漢方薬で死亡する例もないわけではないのです(もちろん西洋医薬よりは少ないですが)。
特に漢方薬と西洋医薬と併用する場合は、同じ作用の薬を飲み合わせないようにしましょう。
先述した標治療法は、鼻水や鼻詰まり、くしゃみといった花粉症の症状を止めるための治療ですが、それとは別に漢方薬には本治療法というものがあります。
本治療法は原因療法のひとつで、いわゆる体質改善の治療。花粉症を引き起こすアレルギー体質を治していくことを指します。
これは一朝一夕にはできません。症状が治まっても飲み続けることが不可欠ですので、年単位での服薬が必要になります。
このことが「漢方薬は長く飲まないと効果がない」という印象を与えています。
しかし先述したとおり、標治療法により短期間で花粉症のつらい諸症状を抑え込むことは可能です。ただそれだと一時的に症状を抑えただけですので、次の花粉シーズンに再びつらい症状が再発してしまいます。
標治療法と同時に本治療法をスタートし、花粉シーズンが終わっても本治療法は続けるという方法で、時間をかけて花粉に打ち勝てる体質を作り上げるのが、長い目で見ると結果的に吉なのです。