意外と怖い?~花粉症と合併症

頭痛

花粉症で鼻水や目のかゆみに悩まされるだけでもツライのに、さらに別の症状を併発してしまうこともあります。

花粉シーズンが終わってもズルズルと症状が続かないようにするためには、まず合併症かどうかを確認し、続いて適切な処置を施すことが肝要です。


対策93:副鼻腔炎を疑う

くしゃみをして鼻をかむ

花粉症用の薬を飲んで治療している状況なのにも関わらず、鼻水や鼻詰まりが収まらない状態が続き、頭痛が起きたりする場合、副鼻腔炎(ふくびくうえん)を疑ってかかるべきでしょう。

副鼻腔とは鼻の穴の中に隣り合った骨の間にある空洞のこと。
鼻の穴の中で炎症が起きた場合に、これが影響して副鼻腔にも及ぶことがあります。風邪などによる急性のものだけでなく、炎症によってできた膿が排泄されずに溜まることで慢性化する場合もあり、慢性のものはかつて蓄膿症と呼ばれていました。


花粉症の症状に加えて、頭が重い感じがする、頭痛がする、副鼻腔付近に鈍痛がする、咳が続く、頬・おでこ・目の周りが痛くなる、味覚がおかしいなどの症状を感じた場合は、医師にその旨を伝えましょう。

対策94:副鼻腔炎を治療する

カルテに書き込む医師

副鼻腔炎かも?と感じたなら、耳鼻咽喉科の医師に相談しましょう。
その際、花粉症の薬を飲んでいるかどうか、いつから症状があるのか、他の病気にかかっていないかどうかをはっきりと伝えることが重要です。

また、副鼻腔炎は後述する気管支喘息を併発しやすい病気でもあります。この場合は呼吸器内科との連携も必要になりますので、咳の症状がある場合はしっかりそれも伝えましょう。


病院では鼻鏡や内視鏡を使用して粘膜の腫れ、鼻水の量や状態、鼻ポリープ(鼻茸)の有無を確認します。またレントゲンやCT、MRIを使用して精密に検査することもあります。


治療は基本的に薬剤で行われます。
炎症を鎮める薬と抗菌薬を服用します。加えて痰や鼻水の排出を促進する薬も使われます。ネブライザー療法といって、抗菌薬やステロイドを含んだ薬液を霧状にし、鼻などから吸い込む手法も併用されます。


普段の生活の注意点としては、中耳炎を引き起こさないように鼻をかむことが挙げられます。勢いよく鼻をかむと、鼻の細菌が耳管を通って中耳に感染することがあるためです。
鼻をかむなら勢いをつけず、ゆっくりと数秒かけてかみましょう。


対策95:気管支喘息を疑う

咳をする女性

咳が続き、たんが出て、呼吸も苦しくなる気管支喘息(きかんしぜんそく)。
一見花粉症とは何のかかわりもなさそうですが、決してそうではありません。むしろ非常に似通った病気です。

喘息患者の3分の2にアレルギー性鼻炎の症状が見られ、アレルギー性鼻炎患者の3分の1に喘息の症状が見られることからもそれは明らか。

鼻と喉は繋がっています。スギ花粉が鼻の粘膜を刺激すると、炎症が起きます。その炎症性の細胞は血液の流れに乗って気管支に到達し、炎症を飛び火させるのです。
どちらも気道で起きる病気なので、双方は無関係ではなく、作用し合っていると思った方がよいでしょう。


対策96:気管支喘息を治療する

医師

花粉症用の抗アレルギー薬や点鼻薬、点眼薬では気管支喘息を治すことはできません。
咳などの症状を医師に伝え、下気道の炎症を抑えるための専用の治療薬を使用する必要があります。

まずは喘息がアレルギー性のものかどうかを判断し、アレルギー性であるならばアレルゲンを調べます。
その上で吸入薬を処方するのが一般的。


吸入薬には2種類あり、喘息の発作が起こらないよう防ぐ薬(コントローラー)と喘息の発作が起こったときに発作を抑える薬(リリーバー)を併用します。
コントローラーには粉末のステロイドを用います。吸入なので経口薬に比べて1/100~1/1000程度の少量で済み、副作用の心配が大幅に緩和されています。
リリーバーには即効性が求められますので気管支拡張剤を用いますが、この使用は発作時のみにとどめ、だんだん使わずに済むように症状を緩和させていくことが重要です。


対策100選シリーズ