花粉症の薬を把握しよう

問診と検査でアレルゲンを特定できたなら、次にするべきは症状を抑え込んでしまうことです。

薬
▲薬のこと、知っておこう…

ほとんどは薬を処方されて、それを服用・点鼻・点眼することで治癒することになりますが、花粉症治療で処方される薬とは一体どのようなもので、どういった点に注意すべきかを見ていきましょう。


対策69:花粉飛散前から薬は飲むべき

医師
▲医師の判断を仰ぎましょう…

既に花粉症であることが判明している場合、花粉飛散の1ヶ月~2週間くらい前から予防治療を行います。
これにより花粉シーズン中の症状を軽減することを狙いとし、花粉症の症状が中等症以上の場合に効果を発揮してくれます。


薬は服用してもすぐ効くものばかりではありません。飲み始めてから効き目が出るまでに2週間近くかかる薬もあります。これを花粉飛散前の時期から服用しておけば、花粉の飛散が始まった頃に充分な薬効を得られるというわけです。

また、効き初めまでに時間がかかる薬とある程度即効性のあるものを併用することで、症状の更なる緩和を期待する場合もあります。


対策70:花粉飛散前に処方される薬

花粉が飛散する1ヶ月~2週間前から予防治療のために処方される薬です。以下のようなものがあります。


クロモグリク酸ナトリウム(商品名インタール)、トラニラスト(商品名リザベン)…など

メディエーター遊離抑制薬  mediator-isolation inhibitor


花粉が体内に侵入した際にヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサン(thromboxane)などの化学伝達物質が放出されないように抑える薬。
薬効が現れるまで約2週間以上かかります。

メディエーター(ケミカルメディエーター)とは細胞から細胞への情報伝達に使用される化学物質のことです。

クロモグリク酸ナトリウム(インタール)は吸入・点眼向けにそれぞれあり、対鼻炎向けのものは吐き気、発疹の副作用が出ることもあります。

トラニラスト(リザベン)は出血性膀胱炎や、肝臓に端を発する食欲不振やだるさ、吐き気などの副作用が懸念されます。妊婦は使用できません。


プランルカスト水和物(商品名オノン)…など

抗ロイコトリエン薬  leukotriene antagonist


鼻粘膜の腫れを引き起こすロイコトリエンの発生を抑え、鼻詰まりを解消する働きが見込める薬です。抗ヒスタミン薬などと組み合わせて使用されることが多いですが、効果が現れるまでに約2週間以上かかります。

プランルカスト水和物(オノン)の副作用としては、吐き気や腹痛、胸やけ、下痢などがあります。長期服用の場合は肝機能への影響も懸念されます。


セチリジン塩酸塩(商品名ジルテック)、フマル酸ケトチフェン(商品名ザジテン)、エピナスチン塩酸塩(商品名アレジオン)、フェキソフェナジン塩酸塩(商品名アレグラ)、ロラタジン(商品名クラリチン)、オキサトミド(商品名セルテクト)…など

抗ヒスタミン薬  Antihistamine


くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった花粉症の最も特徴的な症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑える薬です。

抗ヒスタミン薬には第1世代と第2世代があります。
第1世代のものは薬効が強い代わりに眠気や口の渇きなどの副作用が強いため、第1世代に較べると薬効は弱まるものの副作用も少ない第2世代のものが主流です。
図に掲げた抗ヒスタミン薬は全て第2世代のもので、これ以外にも多くの種類があります。

抗ヒスタミン薬は、服用後比較的早く効果が現れます。
一般的な副作用としては、眠気、だるさ、頭痛、口の渇き、吐き気などが挙げられます。
その他の重い副作用として長期服用による肝機能障害に注意が必要です。長期間服用する場合は、定期的に肝機能検査を受けましょう。

また、フマル酸ケトチフェン(ザジテン)の場合はてんかん既往歴のある人は服用できません。安定剤や飲酒との併用も不可です。
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)も抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)との併用で血中濃度上昇のおそれがあります。
ロラタジン(クラリチン)に関してもエリスロマイシン(エリスロシン)に加えて、胃薬のシメチジン(タガメット)との併用でも血中濃度上昇のおそれがあります。


対策71:花粉飛散時季に処方される薬

既にアレルギーを引き起こす種類の花粉がガンガン飛散してしまっている時季であるならば、早めに医師に相談を。治療開始が遅れると、それだけ快癒まで時間が必要になります。

くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状が出てしまっているので、それを緩和することと、明日や明後日に出てくる症状を抑え込むこと、この2種類の治療を投薬で行います。
それゆえに以下の薬を組み合わせて処方されます。


フルチカゾン プロピオン酸エステル(商品名フルナーゼ)、モメタゾン フランカルボン酸エステル(商品名ナゾネックス)、	デキサメタゾン シペシル酸エステル(商品名エリザス)…など

鼻噴霧用ステロイド薬  topical steroid nasal spray


ステロイド(steroid)とは腎臓の上に位置する副腎が分泌するホルモンのひとつ「副腎皮質ホルモン」のことです。我々の体内で作られ、生きて行く上では欠かせない物質です。
これを人工的に造ったモノのことも「ステロイド」と呼び、一般的にはこちらを指します。ステロイドには炎症を鎮め、免疫を抑制する効果があります。

このステロイドを鼻の粘膜に直接噴霧して治療します。粉末剤と液剤があり、1~2日で効果は現れ始めます。症状が快癒するまで使い続けることで効果を上げることができます。

フルチカゾン プロピオン酸エステル(フルナーゼ)、モメタゾン フランカルボン酸エステル(ナゾネックス)は、症状がやや重い時に処方され、特に鼻詰まりに効果を発揮してくれます。
重い副作用として発疹やじんましんなどがあります。
また感染症の人は使用しないほうが良いでしょう。
フルチカゾン プロピオン酸エステルに関しては、エイズの薬のリトナビル(ノービア)との併用は注意が必要です。

デキサメタゾン シペシル酸エステル(エリザス)は粉末の噴霧剤です。液だれしない上に使用時の刺激感も少なめです。
感染症の人は使用を控えてください。副作用として鼻やのどの不快感が出ることがあります。


ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(商品名ベタセレミン)…など

経口ステロイド薬  oral corticosteroid


読んで字のごとく、飲むタイプのステロイド薬です。
鼻噴霧用ステロイドでは思ったほどの効果が上げられない場合に服用します。薬効が強いため、副作用を考慮して1週間以内の短期間の投与にとどめます。

ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(ベタセレミン)は、症状が重い時に短期間に限り処方します。
感染症、高血圧、血栓症、急性心筋梗塞の既往歴保持者、消化性潰瘍、妊娠中・授乳中の女性などは服用できません。
副作用として、眠気が生じるほか、重い場合は誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害などが発生することもあります。


ナファゾリン硝酸塩(商品名プリビナ)、硝酸テトラヒドロゾリン(商品名ナーベル)、オキシメタゾリン塩酸塩(商品名ナシビン)…など

血管収縮薬  vasoconstrictors


鼻の粘膜の血管を収縮させて鼻詰まりを改善させたり、目の充血をとるために使用します。

ただし対症療法ゆえに効果はあくまでも一時的なものですので、この薬剤だけで治すわけではありません。他の薬剤と併用して用います。

ナファゾリン硝酸塩(プリビナ)は、鼻詰まり解消に用いる点鼻薬です。高血圧症、心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症の人は使用に注意が必要です。
副作用として動悸、頭痛、めまいがあります。

硝酸テトラヒドロゾリン(ナーベル)、オキシメタゾリン塩酸塩(ナシビン)は、鼻詰まりや目の充血解消に使われます。閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)のある人は、目には使用できません。また、高血圧症、心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症の人は使用に注意が必要です。
副作用として動悸、頭痛、めまいがあります。


プランルカスト水和物(商品名オノン)…など

抗ロイコトリエン薬  leukotriene antagonist


鼻粘膜の腫れを引き起こすロイコトリエンの発生を抑え、鼻詰まりを解消する働きが見込める薬です。抗ヒスタミン薬などと組み合わせて使用されることが多いですが、効果が現れるまでに約2週間以上かかります。

プランルカスト水和物(オノン)の副作用としては、吐き気や腹痛、胸やけ、下痢などがあります。長期服用の場合は肝機能への影響も懸念されます。


セチリジン塩酸塩(商品名ジルテック)、フマル酸ケトチフェン(商品名ザジテン)、エピナスチン塩酸塩(商品名アレジオン)、フェキソフェナジン塩酸塩(商品名アレグラ)、ロラタジン(商品名クラリチン)、オキサトミド(商品名セルテクト)…など

抗ヒスタミン薬  Antihistamine


くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった花粉症の最も特徴的な症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑える薬です。

抗ヒスタミン薬には第1世代と第2世代があります。
第1世代のものは薬効が強い代わりに眠気や口の渇きなどの副作用が強いため、第1世代に較べると薬効は弱まるものの副作用も少ない第2世代のものが主流です。
図に掲げた抗ヒスタミン薬は全て第2世代のもので、これ以外にも多くの種類があります。

抗ヒスタミン薬は、服用後比較的早く効果が現れます。
一般的な副作用としては、眠気、だるさ、頭痛、口の渇き、吐き気などが挙げられます。
その他の重い副作用として長期服用による肝機能障害に注意が必要です。長期間服用する場合は、定期的に肝機能検査を受けましょう。

また、フマル酸ケトチフェン(ザジテン)の場合はてんかん既往歴のある人は服用できません。安定剤や飲酒との併用も不可です。
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)も抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)との併用で血中濃度上昇のおそれがあります。
ロラタジン(クラリチン)に関してもエリスロマイシン(エリスロシン)に加えて、胃薬のシメチジン(タガメット)との併用でも血中濃度上昇のおそれがあります。


次の対策

  花粉症の症状を今すぐ抑える

次花粉症の薬の注意点を
チェック

インペアード・パフォーマンス?


対策100選シリーズ