インペアード・パフォーマンス~花粉症の薬の注意点

花粉症治療で使用されるおおよその薬を把握しましたが、同じように薬の正しい服用のしかたもチェックしておきましょう。

医師
▲お医者さんに相談だ…

市販薬のCMで必ず「用法用量を守って正しくお使いください」とナレーションが入るのは、ただの飾り文句ではありません。正しく服用することで薬効を最大限に引き出すことができるだけでなく、誤った服用における事故を防ぐための大切なこと。ただ決まった回数飲めばいいというわけではないのです。


対策72:インペアード・パフォーマンス

インペアード・パフォーマンス(impaired performance)という言葉をご存じでしょうか。
インペアードは損なわれたという意味。行為の効率が失われるということです。


そもそも花粉症による鼻詰まりや鼻水、目のかゆみなどの症状は私たちの仕事や勉学の能率を下げてしまうものです。その対処として薬を服用するわけですが、花粉症の症状が緩和されるのと引き換えに薬の副作用により、却って集中できなくなることがあります。

花粉症の症状を引き起こすヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬を服用すると、薬剤の成分が脳に達し、脳内のヒスタミンの働きも抑えてしまうことがあります。
ヒスタミンは鼻詰まりや鼻水、目のかゆみを起こしますが、集中力や記憶力を高める働きもあります。脳に達した抗ヒスタミン薬が作用して、集中力や記憶力、判断力、作業の能率を低下させてしまうのです。

あくび
▲仕事中の睡魔は薬のせい…?

いわば眠くなってしまうわけですね。
仕事で思わぬミスをしたり、眠気に襲われたり、といったことが勃発します。一瞬の隙が事故に繋がるドライバーや、数字や文字とにらめっこせねばならないビジネスマン、受験生にとって、集中できず眠くなると言うのは大きな問題です。
これをインペアード・パフォーマンスといいます。


対策73:眠くなる薬のほうが効き目が強い?

花粉症の薬の効き目を計る目安として、眠気が強く起こるほうが薬効が高く、よく効くのだと思っている人がいます。
実際のところ、そんなことはありません。


薬
▲睡魔の強さと効き目の強さは
イコールではありません…

これは旧来病院で処方されていた花粉症用の抗ヒスタミン薬が強く眠気を引き起こしたため、その認識が強くある人がそのような感想を抱いていたことによる誤解です。

抗ヒスタミン薬が花粉症の症状を緩和するとき、その作用は患部の組織に働きかけることによって起こるものです。眠気は抗ヒスタミン薬が脳に移行することで発生するため、眠気の強さと薬効に直接の関係性はありません。


対策74:医師に薬の希望を伝える

医師の問診を受ける際、ただ聞かれる質問に答えるだけでも特に問題はありませんが、インペアード・パフォーマンスを引き起こしたくないのであれば、その旨を伝えるべきです。

現在、眠気が強い第1世代ではなく、副作用の出にくい第2世代の薬剤を処方するのが主流になっていますが、念のために「眠くなりにくい薬を」と伝えておくと確実でしょう。


ドラッグストアの看板
▲薬店では薬剤師に尋ねよう…

また、病院へ行く時間をとることができず、止むを得ずドラッグストアや薬店で市販薬を購入して対処する場合でも、とりあえず鼻炎用と書いていれば何でもOKとは思わないことです。

市販薬は第1世代のものが多く、パッケージをぱっと見ただけでは素人に判別はできません。面倒でも薬剤師に眠気が出にくい第2世代の薬を尋ねるようにしましょう。


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